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「旅の断片」若菜晃子

〈街と山のあいだ〉をテーマとした小冊子『murren』の編集・発行人による、待望の随筆で、旅の三部作、第一集。若菜さんの綴る文は、嘘がなく、まっすぐで、読む者に対してとても誠実です。そして、物や事を「よくみる」ということについて、考えさせられます。

人は、目に見える景色を、それまで自身が経験してきた物事でしか測れない。そして、自分の内側に蓄積された時間の中で、すこしずつ蓄えられた言葉でしか表現できないとしたら、若菜さんのそれは、鍛え抜かれた観察眼そのものであり、大袈裟ではなく、若菜さんの人生を感じざるを得ないのです。

きっと、山と街のあいだを歩くように、自身の一歩一歩を踏みしめて歩んでこられた、彼女の美しい結晶は、たとえあなたが訪れたことのない場所について書かれてあったとしても、ちゃんとあなたの心深くがゆれるような、なにか普遍的な感情のようなものが湧いてくるのです。きっとこれが、文筆家の力。そして美しい本の力なのでしょう。

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