福岡・けやき通り & 箱崎の小さな本屋

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「毎日新聞」 2005年2月3日 高倉美恵・文

子連れ本屋さんの読書日記

「店は小さくても工夫次第」

 首都圏、地方を問わず、大型書店の出店が止まらない。本屋に限らず、大規模店ができて、周囲の小規模店が閉店するという流れはずっと続いている。では、大企業でなければ「商売」は成り立たないのかというと、あながちそうとも言えない。
 福岡市の中心地区天神から数㌔離れた場所に13坪の書店「ブックス・キューブリック」はある。4年前オープンした。200坪や300坪では、もう「大型店」と言いづらいこの頃の書店事情からすれば、驚異の小ささである。 
 オープンして1年目と3年目に店を訪ね、経営者にお話をうかがったことがある。もうかってウハウハってわけにはいかないけれど、きちんと黒字を出しているという(2回の訪問で私は、買う予定のなかった本を1万円近く衝動買いしてしまった)。そんな店が存続しているってことは、小規模でも工夫次第で、きちんと経営が成り立つことの証明であるわけで、本屋の端くれとしては、随分勇気づけられる。
 出版や書店が健全には成り立たなくなっていることをルポした佐野眞一著『誰が「本」を殺すのか』(プレジデント社)が上下巻で文庫(新潮社)になった。新たに改稿加筆された下巻では、絶望的な出版業界にあって、小さくても独自のやり方で成功している出版社などを取材し「本はしなない」と結んでいる。希望は、なくはないんである。