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10/5(水)- 10/23(日)和田誠ポスター展を開催します。

『和田誠 日活名画座ポスター集』(888ブックス,2021年10月)表紙

 

“ポスターを描くこと、それが町に貼られることが本当に嬉しかったのである”

“映画館の事情が変わるまで9年間描いた。半月に1枚くらいのペースで。

最初の約束通りギャラはなし。招待券1枚もらっていない。見たい時は切符を買って入っていました”

——和田誠「日活名画座の頃」(『和田誠 日活名画座ポスター集』より)


 イラストレーター、グラフィックデザイナーのみならず、装丁家や映画監督、エッセイスト、作曲家、アニメーション作家、アートディレクターなどさまざまな顔を持ち、83年の生涯で実に多彩な作品を残した和田誠さん(1936–2019)。

 多摩美術大学卒業間近からの9年間には、日活名画座のポスターを無償で作り続けました。昨年、888ブックス(ハチミツブックス)から刊行された『和田誠  日活名画座ポスター集』には、9年間で制作されたうちの現存する185枚が時系列に沿って掲載されています。

 1965年には、ペルソナ展*出品のために、このポスターの原画を元にシルクスクリーンが制作されました。

*ペルソナ展(1965年11月12日から17日にかけて、東京・松屋銀座にて開催されたグラフィックデザインの展覧会。出品作家は粟津潔、福田繁雄、細谷巖、片山利弘、勝井三雄、木村恒久、永井一正、田中一光、宇野亞喜良、和田誠、横尾忠則の11名。当時30代の気鋭のデザイナーたちによる、「無個性」なデザインがよしとされる時代の流れに対する異議申し立てから生まれた。わずか6日間で3万5000人を動員した。)

 また、1980年代初頭から2000年代まで、和田さんは新宿にあった〈シアターアプル〉という劇場の自主企画のポスターを手がけました。依頼した劇場のプロデューサーが〈日活名画座〉ポスターのファンであり、同劇場で始まった映画上映「MOVIEアプル」のポスターはその意を汲まれ、当時の雰囲気で制作された作品です。


 この度、ペルソナ展出品のシルクスクリーン作品を中心に、「MOVIEアプル」のポスター*とあわせた展覧会を、ブックスキューブリック箱崎店2Fギャラリーにて開催いたします。*会期中に入れ替えを行う予定です。

 会場では、ポスター展示のほか、『和田誠  日活名画座ポスター集』や、現在全国巡回中の『和田誠展』図録などの関連書籍、和田さんが作曲を手がけたCDの販売も行います。貴重な機会となりますので、ぜひご高覧ください。

2022年4月に888ブックスのギャラリー(東京)で開催された際の様子

和田誠  ポスター展

〔会 期〕2022年10月5日(水)-  10月23日(日)
 
〔時 間〕平日11:00‐17:00
     土日11:00‐18:00
 
     *月・火曜定休 入場無料
     *10/10スポーツの日は営業(11:00-18:00)
 
〔会 場〕カフェ&ギャラリー・キューブリック
     福岡市東区箱崎1-5-14ブックスキューブリック箱崎店2F
     (JR箱崎駅西口から博多駅方面に徒歩1分)
 
〔お問合〕092-645-0630 hakozaki@bookskubrick.jp
 

書籍情報

『和田誠  日活名画座ポスター集』

和田誠(著/文 | イラスト)
B5判 1000g 208ページ
定価 4,500円+税
ISBN 978-4-908439-17-9

現在の新宿丸井の場所に、かつて日活名画座という映画館があり、格安で名画をみられることから人気が高かった。その映画館のポスターを1959年から1968年までの9年の間、無償で制作していたのが22歳から30歳の頃の和田誠です。日活名画座のポスターは和田誠の初期の活動を紹介するうえで、欠かせない重要な作品です。粟津潔や杉浦康平など、グラフィックデザイナーに活用されていたシルクスクリーンの工房サイトウプロセスからの依頼によって、月に2枚程度制作されていました。これまで和田の展覧会や作品集では一部の展示(掲載)や、イラストレーション部分がまとめられているだけで、全貌は明らかではありませんでした。本書は和田誠事務所に保管されていた185点の幻のポスターをまとめたものです。シルクスクリーンのヴィヴィッドな色合い、大胆な構図は今なお、今だからこそ新鮮でスタイリッシュです。和田誠のファンはもとより、映画ファン、またグラフィックデザイナー、デザイナーを志す人たちにとっても刺激になる一冊に違いありません。ブックデザインは映画界で注目される大島依提亜。当時の気分を再現するために、表紙はシルクスクリーン印刷にし、一部のポスターは当時と同じく銀色で刷っています。

 

作家プロフィール

和田誠(わだ・まこと)

多摩美術大学図案科(現・グラフィックデザイン学科)卒業。1959年デザイン会社ライトパブリシティ入社。68年よりフリーのイラストレーター、デザイナーとして活躍。たばこ「ハイライト」のデザイン、雑誌「週刊文春」の表紙イラストレーション、また星新一や丸谷才一、村上春樹など、2000冊以上の装丁を手がける。著書は200冊以上。映画に関する著書も多く『お楽しみはこれからだ』、『たかが映画じゃないか』(山田宏一との共著)、『シネマッド・ティーパーティ』、『これもまた別の話』(三谷幸喜との共著)など。映画監督として『麻雀放浪記』『快盗ルビイ』『怖がる人々』『真夜中まで』などの作品がある。