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7/6(水)- 7/24(日)『風をこぐ To Row the Wind』橋本貴雄 写真展を開催します

 日本とベルリンを拠点に活動する写真家・橋本貴雄さんが、路上で保護し共に暮らした犬との12年間を記録した写真+エッセイ集『風をこぐ  To Row the Wind』(モ・クシュラ,2021)。その刊行を記念した写真展をブックスキューブリック箱崎店2Fギャラリーで開催いたします。

 本書には、橋本さんが福岡の路上で倒れていた野良犬を保護し、「フウ」と名付けた 2005 年から、共に暮らした大阪、東京、そし て移住先ベルリンでフウが亡くなる 2017年までの写真 261 点と、書き下ろしエッセイ 2 万字が収録されています。

 移りゆく季節、場所、時間とともに写し出されたフウの姿を眺めているうちに、作者の記憶を追体験するように心の奥にゆっくりと時間が流れ出し、広がっていくような作品です。

 橋本さんは、本書所収の写真からなる「Kette」で、若手写真家の登竜門「キヤノン 写真新世紀」2021年度佳作を受賞されました。会場では、『風をこぐ  To Row the Wind』に収められた写真を展示するほか、額装された写真の販売も行ないます。また、7月9日(土)には橋本さんをお迎えしたトークイベントも開催いたします(概要はこちら)。みなさまのご来場、ご参加を心よりお待ちしております。

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作者ステイトメント

フウは 2005 年に福岡の路上で轢かれていたところを保護した。

事故により後ろ脚は動かなくなっていたので、手術を受け、リハビリをかさねたが普通の犬のように歩くことはできなかった。 それでも、バタバタとうねるように走り、時々尻もちをつきながら自分で立って歩けるまでに回復した。写真を始めたのはその頃だった。 写真を撮っているとき、その写真で作品作りをするつもりはなかった。ただ、目の前のことにいつもはじめての様に反応し動くフウに視線が向いて、それにつられてシャッターを切っていた。福岡、それから大阪、東京、ベルリンと 12 年間、私はフウの側にいて、そこでただ見つめていたように写真が残った。

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書評
映像は現前を描くことはできるが、不在を表象することは本来的にできない。ただきわめてまれな場合、たとえば溝口健二の「残菊物語」のような場合、それが実現されることがある。橋本のこの写真集の最後の数頁には、それが奇跡的に実現されている。最後の頁まで観終わって、最初の方にある浜辺の写真に戻ってみると、犬がこのときどんな気持ちでいたかが理解できる。
 
「あらゆる眼で生きものは見ている。
 開かれた世界を。ただ わたしたちの眼だけがまるで逆さまのようだ
 死に近いとき 人はもはや死を見ず  じっと外を見つめる
 おそらくは大きな動物の瞳で。」
 
リルケの『ドゥイノの悲歌』8はこの写真集の註釈としてふさわしいかもしれない。
(比較文学者・四方田犬彦氏 Facebookより)
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『風をこぐ To Row the Wind』橋本貴雄 写真展

会期:2022年7月6日(水)~7月24日(日)
   平日11時*~17時 *案内状では10時~となっております。

              11時までは建物向かって右手の外階段から入場いただけます。

   土日祝11時*~18時 *同上

   月・火曜定休(海の日は営業)*入場無料

会場:カフェ&ギャラリー・キューブリック
住所:福岡市東区箱崎1-5-14ブックスキューブリック箱崎店2F
(JR箱崎駅西口から博多駅方面に徒歩1分)

お問合せ:TEL092-645-0630 hakozaki@bookskubrick.jp

書籍情報

『風をこぐ To Row the Wind』
橋本 貴雄()
発行:モ・クシュラ 
A5変型判  並製

 縦146mm 横195mm 厚さ25mm 重さ 600g
 312ページ
定価 3,200円+税

ISBN 978-4-907300-05-0

作者プロフィール

橋本 貴雄  (はしもと・たかお

1980年、熊本県生まれ。2008年、ビジュアルアーツ大阪写真学科卒業。同年上京し、イイノメディアプロにて勤務したのち2011 年ドイツに渡る。現在、ベルリン在住。「風をこぐ」所収の写真からなる「Kette」で2021年度「キヤノン 写真新世紀」佳作(椹木野衣氏選)。