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「朝日新聞」 2008年5月27日夕刊
<偏西風>
欲しい本が決まっているときは大型書店が便利だが、読みたい本を知るには本棚に趣味の香る小さな書店がいい。
多すぎては選べないし、最大公約数ではつまらない。
福岡・けやき通りのブックスキューブリックもそんな店だ。ある週最も売れた本が「日本民藝手帖」といった具合。店内遊泳が楽しい。
13坪の店に書籍5千点(雑誌を除く)。新刊だけで年約8万点もの星雲からどうやって5千点を選んでいるのか。大半を捨てねばならないし、全部に目は通せまい。
「投票と同じですよ」代表の大井実さんは話した。仕入と見せ方が的確なら、客が本をレジに持って来て「投票」してくれる。客との共働で本棚ができる。
もう一つは「値ごろ感」だという。難しそうで高い書評棚の本より、普通に新聞を読む人が普通に関心を持つもの。楽しく生活したい人が求めるもの。例えば、良質な料理やインテリアの本を選ぶ。
本棚と紙面は似ている気がする。上手な編集は難しい。
(社会・各務滋)