「力の源通信」 2005年5・6号
「力の源オススメの店 ブックスキューブリック」
「本屋へ行くと、つい長居をしたくなる」「衝動買いが抑え切れず5千円や1万円を惜し気もなく使ってしまう」、そんな本好きが泣いて喜ぶような書店が福岡のけやき通りにある。
4月で満4周年を迎えたこの書店、名前を「キューブリック」と言う。そう、映画「2001年宇宙の旅」の監督、スタンリー・キューブリックの名が店名の由来。この書店の魅力を挙げたら切りがない。本のブティックとでも言おうか、衝動買いをしなければならなくさせる「そそられる本」が、わずか15坪の店内にピョコピョコと顔を覗かせる。
●高村光太郎の詩集『智恵子抄』〈愛蔵版〉●金子国義の『不思議の国のアリス』●『図説 中村天風』●『池波正太郎が歩いた京都』●『ヘミングウェイのパリガイド』●井上孝治さん写真集『思い出の町』 ●『夢二エハガキ』●田中千絵さんの『いろのはがき』●『声に出して読む般若心経』(CD付き)・・・いけない。まるでハラペコでデパ地下に迷い込んだ状態。沸き起こる欲求がどうにも抑えられない。
欲しい本もいっぱいだが、既に持っていて大切にしている本までも書棚に並んでいる。それも、この書店の魅力の一つだ。新刊と息の長い良書を並行して揃えた、本好きをうならせるセレクトショップなのである。
昔の小学校の図書館にあったような木の床が」いい。明るくしすぎない黄色い照明がいい。店主の大井実さんがいい。「街の本屋のスタンスを大切に、大人が楽しめる本、生活をより豊かにするヒントとなる本を意識して揃えています。棚は日々入れ替わるから、枯れさせないように毎日耕す。畑仕事と一緒です。手入れを念入りにすれば、お客様に届くんです」という。
自分との取り決め「一度に使っていい本代が5千円まで」のおかげで、どうやらこの書店には何度も足を運ぶことになりそうだ。