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児島研二さん(市民オンブズマン福岡)の本棚 Vol.13

「野十郎の炎」 多田茂治

葦書房 ¥ 1,890

 06年1月25日まで福岡県立美術館で開催された高島野十郎の生涯を描いた伝記である。朝日新聞にもその生涯の概略が紹介されていた。野十郎は、久留米に生まれ、東大を主席で卒業しながら学歴を捨て、一生独身を通し画壇とも関わりをもたず、晩年は千葉県柏市で農業をしながら、畑の真ん中に粗末な小屋を立て電気も引かずアトリエにしていた。
 中央画壇と全くかかわりをもたなかった高島野十郎を発掘し たのは、県立美術館の学芸員である。1980年の「近代洋画と福岡展」に出品された久留米出身の児島善三郎、古賀春江、中村研一などの有名画家に交じって、まったく無名だった高島野十郎の絵が一点だけ出品され、その1枚がきっかけとなって発掘され高く評価された。その当時久留米の美術関係者の中でもほとんど知るものがいなかったそうである。