「フラガ神父の料理帳―スペイン家庭の味」
ドンボスコ社 2100円
スペイン料理のレシピ本? 美術書?? エッセイ???
著者のセサール・フラガさんは、1950年代に来日され、現在は大分の杵築カトリック教会で神父をされています。
当店スタッフがたまたま旅行でその教会を訪ねたときにフラガ神父さんから教会を案内して頂いたのですが、かたことの日本語で語られるフラガさんの話の面白いこと!
昔、船乗りだったり、料理の腕前は皇室に呼ばれたこともあるほどだったり・・。
スペイン料理の本を出されたことがあると聞き、少しだけ見せて頂いたのですが、版画の挿絵がとても素敵だったので、旅行から帰って探したのがこの本です。
基本的に見開き2ページでひとつの料理が紹介されているのですが、そのほとんどに一つずつ池田宗弘さんの版画挿絵が載っているという贅沢さ。その版画がどれもシンプルで素朴でそれだけ見ていっても見ごたえがありますが、料理の写真も特殊効果で撮られていない昔の料理本を思い出すようないい風合いで、池田さんの版画とあっています。
極めつけは、各レシピに添えられているフラガ神父の楽しいコメント。
この本のまえがきも寄せられている長いおつきあいだというC.Wニコルさんや家族との交流・スペインの風習などが、各料理にまつわる思い出として書かれているのですが、これが笑いなしでは読めません。第一、 料理の本なのにレシピより文字数が多いというのがすでに笑えます。この本を読んでいると、版画絵がある空間に招かれて、フラガさんがつくった料理をいただきながら、フラガさんの話を聞いて笑い転げているような気分になる不思議なレシピ本です。
けやき通り店に在庫していますので、ぜひ一度お手にとってみてください。(お)
※尚、出版にあたり、この本の版画の原画展が長野県で6月まで開催されています。
フラガ神父の料理帳 池田宗弘による原画展
http://www.shinshu-liveon.jp/www/event/node_150587