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『女子の古本屋』 岡崎武志 

筑摩書房 1470円

『女子の古本屋』岡崎武志

 雑誌「クウネル」が出現したのは今から約5年ほど前。生きていくために一番基本的な、「食べる」「暮らす」の心地よいスタイルを提供してくれるこの雑誌に、創刊と同時に多くの女性が「クウネル」系の一員となりました。
 クウネルがこれだけ多くの女性に支持されるひとつの要素として、規模や種類の違いはあれど、自分の好きなもの・大切にしたいものを源にした新しい「自己表現」の形を提案してくれるからのようにも思えます。
 「女子の古本屋」は、そういった「自己表現」を「古本屋」という形で実現したした女性13人の物語。
しかし、「自己表現」のためだけで生きていけるほど「古本屋業」も甘い物ではありません。店内のほのぼのした雰囲気、やさしい絵本たち、ゆっくりと流れる時間・・・。しかし、その空間を作り、維持するために彼女たちが払っている努力は並大抵の物ではありません。「古本屋として生きていく」そういう、凛とした確固たる決意を感じます。そうでなければ、別のアルバイトをしながら、お店を続けたりなんて出来ませんよね。
 本が好きだから、本で生きていく。とってもシンプルだけど多くの人が実行できないでいるこういう生き方に、ジャンルを超えていろんな「働く人」たちはきっと励まされるのではないのでしょうか。わたしはすごく、勇気をもらいました。 (N)