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「ド・ローラ節子の和と寄り添う暮らし」 節子・クロソフスカ・ド・ローラ

新潮社 1470円

ド・ローラ節子の和と寄り添う暮らし (とんぼの本)

 真夏の陽射しが照りつける先日のこと、涼しげな浴衣を着たカップルにご来店いただきました。瞬時に周りの空気を爽やかに変えた和の装いの良さを改めて感じたひとときでした。
 そんなときぐっと引きつけられたのがこの一冊。著者は20世紀最後の巨匠と言われる画家バルテュスの妻としてイタリア、スイスに40数年暮らし続けるド・ローラ節子さん。スイスの豊かな自然の中で、ごく当たり前のように着物で日常の生活を送る著者のたおやかな姿、優しい笑顔・・・とても美しいです。 生前バルテュスも着物をこよなく愛し、室内着として紬や大島をよく着ていたそうですが、そもそも著者が着物を身につけるようになったのは、女性の美にとても敏感な夫バルテュスの要望にこたえたいという思いが動機となったと語っています。
 また、各国を旅する際も着物で通すという著者ですが、朝焼けのサハラ砂漠を、深紅の紗をまとい朱色の和傘を差して歩く一枚の写真はまるで絵画のようでうっとりとします。
 ヨーロッパに住むからこそ「和のこころ」を大事にしたいという切実な思いが詰まった本書。読み終えたあと、節子さんのようにしとやかに和服をまとった日本人がごく自然に街に溶け込みあふれたらどんなに素敵だろうと感じた1冊です。 (T)

ド・ローラ節子の和と寄り添う暮らし (とんぼの本)