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『くまとやまねこ』 湯本香樹実・ぶん 酒井駒子・え
河出書房新社 ¥1,365
ある日、突然、最愛の友だちである「ことり」を亡くしてしまった「くま」。
悲しみに打ちひしがれ、暗く閉め切った部屋で、ひとり閉じこもっていた「くま」が、その悲しみを乗り越え、やがて新しい世界へと足を踏み出していく様子を描いた、再生の物語です。
身近な人と過ごす日常が、いかに奇跡的で幸福なものであるか。普段「当たり前」だと思っていることは、決して当たり前ではないのだということに、この物語は気づかせてくれます。
作者の湯本香樹実さんが、「ずいぶん長い時間をかけてできあがった絵本」と語る本作、ひとつひとつ、とても丁寧に大切に選ばれたのであろう言葉たちと、それらに添えられた酒井駒子さんの静謐な絵とがあいまって、観る者の心に静かに優しく染み込んできます。「くま」が「ことり」との出来事を思い返し、その姿を眼に浮かべる場面で、それまでモノクロだった絵に挿し込まれるピンク色がとても印象的です。
全国の絵本屋さん1000人が選ぶ、第1回「MOE 絵本屋さん大賞」で第1位を獲得、第2回「子どもの絵本大賞in九州」でも第4位に選ばれました。子どもだけでなく、大人にもぜひ手に取ってもらいたい、とてもいとおしい1冊です。(倉内)