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2/29「私は本屋が好きでした」発売記念 永江朗さんトークイベント

2月29日追記:イベントは予定通り開催いたします。

 ライターの永江朗さんの最新刊『私は本屋が好きでした あふれるヘイト本、つくって売るまでの舞台裏』(太郎次郎社エディタス)の発売を記念したトークイベントを2月29日(土)に箱崎店で開催します。

 長年、業界誌で書店の取材を続け、出版・書店業界に最も精通したライターとして知られる永江さん。近年は、NHKの「あさイチ」や「ラジオ深夜便」の出演の他、各誌の連載も多数手がけ、本の紹介者としても広く知られています。

 新刊『私は本屋が好きでした』は、本屋の店頭に、いつの頃からかヘイト本が溢れ出したのはなぜなのかという問題を通して、出版社、取次、書店の現場で起きていることを取材したノンフィクション。書店・出版業界の大半が見て見ぬふりでつくりあげてきた〝憎悪の棚〟を直視し、書店と出版の仕事の実像を明らかにした問題提起の書として大きな話題を呼んでいます。

 当日は、2001年の開店直後に取材していただいて以来交流のあるブックスキューブリック店主大井実が聞き手となり、業界の現状や未来への展望などについて詳しくお話しいただく予定です。業界関係者のみならず、本や書店、出版などに関心のある方々の幅広いご参加をお待ちしています。

「私は本屋が好きでした」発売記念 
永江朗さんトークイベント

〔日 時〕 2020年2月29日(土)19:00スタート(18:30開場)
〔会 場〕 カフェ&ギャラリー・キューブリック(福岡市東区箱崎1-5-14・ブックスキューブリック箱崎店2F・JR箱崎駅西口より博多駅方面に徒歩2分)
〔出 演〕 永江朗
〔聞き手〕 大井実(ブックスキューブリック)
〔参加費〕 2000円(ワンドリンク付・要予約) ※終演後にサイン会あり

■予約先:
①専用申し込みフォームでお申し込み
▼下記の専用申し込みフォームからお申し込みください。
https://forms.gle/4qoovdDLy5W4Vuwa7
②peatixというサービスからも簡単に予約が可能です。
▼下記の「チケットを申込む」ボタンからお申込ください。
こちらからどうぞ。

*会場へは建物右手の外階段からお上がりください。
参加費は当日受付でお支払いください。
*ご予約後の無断キャンセルはご遠慮願います。

 

永江朗(ながえ・あきら)さんプロフィール
1958年生まれ。北海道旭川市出身。法政大学文学部哲学科卒。書籍輸入販売会社のニューアート西武(アールヴィヴァン)を経て、フリーの編集者兼ライターに。90〜93年、「宝島」「別冊宝島」編集部に在籍。2008〜13年、早稲田大学教員。主な著書に『菊地君の本屋』『インタビュー術!』『批評の事情』『平らな時代』『メディア異人列伝』『本を読むということ』『筑摩書房 それからの40年』『「本が売れない」というけれど』『小さな出版社のつくり方』『四苦八苦の哲学 生老病死を考える』『私は本屋が好きでした』ほか。「アサヒ芸能」「週刊朝日」「週刊エコノミスト」「ミーツ・リージョナル」「素敵なあの人」等で連載中。「ナルミッツ!!!」(HBCラジオ、月曜朝)、「ラジオ深夜便」(NHK第一、第3日曜日深夜)に出演中。

 

『私は本屋が好きでした  あふれるヘイト本、つくって売るまでの舞台裏』(太郎次郎社エディタス 1600円+税)

目次

◎すこし長いまえがき─不愉快な旅だちのまえに 
本屋はただそこにあるだけで影響力がある/モラルハザードが起きやすい流通システム/「返品しない」のも判断/書店員も組織の一員/どんどんネトウヨが喜ぶ社会に/ヘイト本を「ヘイト本」と呼ぶのは適切か/インターネットが生んだ出版トレンド/雑誌・ムックから書籍・新書へ/ヘイト本とポルノの類似性

1◎ヘイト本が読者に届くまで
■町の本屋のリアル─書店経営者座談会
「こういう本を望んでいたんだよ」/女性が『WiLL』を買うのを見たことがない/反対する本は、どれもこれも売れそうにない/中高年男性の癒しとファンタジー/どの店でも売れるわけではなかった/新書はブームのきっかけになりやすい/中韓経済崩壊本は『ムー』と読者が重なる/買う・買わないはお客さんが判断すること/いちど出版しておいて、引っこめるのはおかしい/女性客が多い店で「成人向け」は置けない/営業に支障が出るのは怖い/店が小さくったって、間口は狭めちゃだめ

■チェーン書店─ 個人の意思だけでは決められない
すべてがオートマチック─ 某大手チェーン本部の場合/どう扱うかは各店にまかされる─あゆみBOOKSの場合/書店人としての意見を旗幟鮮明にする─ジュンク堂書店・福嶋聡の場合/クレームへの対応─「アリーナとしての書店」の困難①/「書店員の仕事」ができない─「アリーナとしての書店」の困難②/どんな本も積極的に排除はしない─某大手書店の場合

■出版取次─まったくの透明な装置
出版社と書店のあいだを〝取り次ぐ〞会社/「出版社がつくった初版部数を基本、信頼はする」/「そもそも、ヘイト本のブームなんてありましたっけ?」/担当書店の返品率をいかに下げるか/ヘイト本ブームとPOSは無関係?/たんに入荷したから並べているだけ

■出版社─「売れるから」と「売れなくても」
ちょっと新しい見方の本/売れたジャンルをイナゴのように食いつくす/歴史に名を残す出版社の〝大転回〞/パワハラとヘイト本/ひと炎上三万部/〝自己実現〞のための本づくり

■編集者─かなりの部分、仕事だからやっている
インターネットが重要な供給源/編集者は仕事だからやっている/青林堂で〝ピンチヒッター〟/読むのは意外と〝知識層〟/『マンガ嫌韓流』刊行の立役者もあの人?/保守系の本をつくる人にはバランス感覚が必要

■ライター─願望をなぞり、陰謀をほのめかす
「こんなの読むのはバカだよね」/ヘイト本の読者はネット右翼ではない/ネット右翼誕生の伏流、『戦争論』/保守デフレ時代を生きのこる「経済右翼」/ネットと無知の融合が生んだ都市伝説/民主化以前の韓国をみんな知らない/自信がないから日本自賛本を読む/ヘイト本ブームが去っても

2◎ヘイト本の現場を読み解く
■川上から川下まで─ 出版界はアイヒマンか
ヘイト本はポルノとは違う/ホロコーストも、こんなふうに

■書店への幻想─書店員は本を選べない
セレクト書店はヘイト本を選ばない/「書店=アリーナ」論は有効か/本屋大賞の成功と「カリスマ書店員」と/ひろがる誤解、ふくらむ幻想/選ばないのか、選べないのか

■取次の岐路─いまのままでは維持できない
POSデータが生んだ画一化とランキング依存/出版業界の外から迫る危機

■出版社の欺瞞─だれも責任をとらない
不本意な仕事の結果にも責任がある/本当は出してはいけないものを知っている/編集者の名を本に明記するべき

■ネットと本とマスメディア─ 刷りこまれる嫌悪感
「ヘイト本を買うのは普通のこと」/マスメディアによる日常的な刷りこみ/自分の店にマイノリティが来ると思っていない/現代でも人間は簡単に扇動される/マスメディアへの不満のはけ口/わたしたちになにができるか

◎すこし長いあとがき─変わらなければ、滅ぶだけ 
この難題とどう向きあえるか/答えは出ているのに変われない現状/日本の出版産業の欠陥のあらわれ/〝人〟が働く本屋をとりもどすには/パターン配本と委託制をやめなければ変われない/ヘイト本が客を遠ざけてはいないか/魅力のない本屋は滅びるのだから