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『薬を食う女たち』〜「聞く」と「書く」の間で起きること 五所純子トークイベント

 ドラッグと女性たちとの多様な関係を取材した『薬を食う女たち』(河出書房新社)の著者五所純子さんをお招きしたトークイベントを12月23日(木)に箱崎店2Fのカフェで開催します。
 覚醒剤や大麻、睡眠薬・・・そして現代を生きる女性たちの身に起こるさまざまな事柄や、葛藤し抵抗する姿を丹念に描き、新たな表現へと昇華された作品です。
 トラウマと逸脱、カネとセックス、生きざまと死生観がハードボイルドに描かれる、フィクション/ノンフィクションとは何かを問う《ルポ+文学》の新たな表現を追求した作品として注目されています。
 貴重な機会となりますので、ふるってご参加ください。
 

*ブレイディみかこ推薦!
「これは女の声たちであり、詩であり、ノンフィクションと文学の裂け目を繋ぐ新しい表現だ」

『薬を食う女たち』〜「聞く」と「書く」の間で起きること 
五所純子トークイベント

日時:2021年12月23日(木)19時スタート
会場:カフェ&ギャラリー・キューブリック
   (福岡市東区箱崎1-5-14ブックスキューブリック箱崎店2F
    ・JR箱崎駅西口から博多駅方面に徒歩1分)
出演:五所純子、聞き手:田村元彦(西南学院大学准教授)
主催:ブックスキューブリック / 西南学院大学ことばの力養成講座
参加費: ¥1,500 (1Drink付)                                      
※参加費は当日受付でお願いします。
※ご予約後の無断キャンセルはご遠慮願います。
※会場へは建物右手の外階段からお上がりください。
※終演後「サイン会」を開催いたします(当店でお買い上げの本以外の持ち込みはご遠慮ください)。
 
▼下記の予約フォームよりご予約ください。                                

Googleフォーム:https://forms.gle/uJz8HuD719kxJvav7

Peatix:https://peatix.com/event/3095406/view

▼オンラインでのご参加はこちら(参加費:1100円)
https://store.shopping.yahoo.co.jp/kubrick/20211223.html

*ご購入いただいた方に、後ほどメールで配信URLをお送りいたします。
*今回は、アーカイヴ動画のご用意はありません。お詫びして訂正いたします。

◎お問い合わせ:ブックスキューブリック箱崎店
TEL:092-645-0630
Mail hakozaki@bookskubrick.jp

<新型コロナウイルスの感染拡大防止対策について>
*必ずマスク着用でお越しください。
*入口にアルコールスプレーをご用意いたしますので手指の消毒をお願いします。
*席の間隔を確保するため、定員を減らしております。
以上、ご協力をお願いいたします。

◉五所純子プロフィール 

文筆家。大分県宇佐市出身。単著に『薬を食う女たち』(河出書房新社)。共著に『虐殺ソングブックremix』(河出書房新社)、『1990年代論』(河出書房新社)、『心が疲れたときに観る映画』(立東舎)など、映画・文芸を中心に多数執筆。
 

◉『薬を食う女たち』五所純子著 河出書房新社 
ISBN:978-4-309-22824-2  定価1,892円(本体1,720円)
https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309228242/

◉あらすじサンプル
「第1章 インタビュー」......「おぼえてないですね」。まただ。かれんも言った。はぐらかされるのがわたしの仕事だ、とインタビュアーは思った。かれんははぐらかしているわけではなかった。はぐらかすなら嘘八百をさくっと述べたほうが怪しまれないし、嘘は借金よろしく雪だるま式に増えていくから労と対価が釣り合わない。まじめに思い出そうとしても漠然としてる、ただそれだけ。
「第2章 産毛」......杏(あん)と梨々(りり)は「古い友達」。中学の頃、杏は梨々を援デリグループに誘った。梨々は援交の仕組みを業者から盗み、派遣型買収ビジネスを始める。儲けるだけ儲けて梨々はとつぜん手を引いた。めざといリーダー、ビジネスの才覚。次に来たスカウトはおっパブ、バイブバー、ギャルスナック……。ぜんぶ杏と梨々でふたりじめ。病めるとき、悲しみのとき、貧しいとき、ふたりは「シャブやりたい」と言い合った。
「第9章 住めば都」......2011年3月11日、夫が帰ってこなかった。やがて帰ってこない夜が増えて、ときどき帰るとすぐにシャワーを浴びた。ばかな人だ。さすがにわかる。眠れない。息がきれる。鬱病になるような人間ではないと思ういっぽう、行くべき場所は心療内科しか思いつかない。「鬱病だね」医者が抗不安剤と睡眠導入剤の名をパソコンに打つ。薬は飲めば飲むほど飲まずにいられなくて、意識がときどき途切れ、いらいらがつのり、家へと帰る道すがら、今夜のおかずはなにを壊してやろうかとらんらんした。
「第11章 こつこつ」......七瀬(ななせ)は人生をふりかえる。矯正プログラムでは、人生を見つめなおすのが唯一の方法だと言われた。自分が生まれる前から振り返るべきか。祖母も、母も、娘への期待が大きすぎた。どうかあんな娘に育ちますように、と祖母は希望のほうから母への期待を膨らませた。どうかあんな子に育ちませんように、と母は不安のほうから七瀬への期待を肥えさせた。娘はますます誇らしくない人間になって母の期待に応えようとした。高校に入って間もなく、七瀬は家出した。